ナチスによる権力掌握を受けて、コンチネンタルの企業文化は、労働組合の存在感が強いリベラルで国際化された会社から、ナチスの模範企業へと移り変わっていきました。ナチスへの忠誠心は、工場での点呼時、メーデーの祭典、新しく設立された会社の社内報でも称賛されました。新しい政局に従い、ユダヤ系のバックグラウンドを持つ監査役や幹部は、辞任や再選の放棄を迫られました。

第二次世界大戦が始まる以前にも、コンチネンタルは軍事産業向けの製品を製造していましたが、ごく小さなビジネスにすぎませんでした。当時は、日常で使用される無数の消費者製品に焦点を当てており、主要製品としてタイヤの他に、おしゃぶり、おもちゃ、ゴム製の手袋や靴のヒール、サッカーボール、テニスボール、湯たんぽ、外科用包帯を生産していました。

国家社会主義四カ年計画は、コンチネンタルのように高度に専門化されているか技術製品を大量生産している大企業や中小企業のネットワークを構築しました。サプライヤーとして、これらの企業はナチス戦争経済のバックボーンとなり、初期の成功における重要な存在となりました。コンチネンタルはナチスの戦争経済に円滑に溶け込み、必要不可欠な軍事製品の生産に焦点を移しました。そして、乗用車、トラック、バイク、自転車、航空機のタイヤ、防毒マスク、Vベルト、靴底、タンクローリーを生産し、ナチスの動員と軍事政策からかなりの利益を得ていました。