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      2017年10月23日

      クルージングショーファー: 高速道路における高度自動運転技術の未来

      • クルージングショーファーはドライバーに休息を与えるだけでなく、万が一、運転操作ができなくなったときに安全を確保
      • ドライバーへの運転タスクの引き継ぎができない場合、クルージングショーファーが最小リスク制御により車を停止

      高速道路での高度自動運転は、もはや夢の話ではありません。コンチネンタルは2012年に米国ネバダ州の公道で自動運転試験を開始しました。現在コンチネンタルは、ドイツ、米国、日本、中国と世界各国に開発車両を保有しています。クルージングショーファー機能は、各国の交通規制に則って高速道路で運転タスクを引き継ぐ能力を車に与えます。ドライバーとクルマが運転タスクを分業し、高速道路の終わりにドライバーが運転を再び引き継ぎます。特別に開発されたヒューマン・マシン・インターフェースがこの引継ぎを開始しますが、このインターフェースも車内で試験されています。引き継ぎを促されたドライバーが、健康上の理由などで応じられなくても、車両は自動的に安全に停止できます。最小リスク制御により、車は安全に停止できるスペースを見つけて自動的にその場所に向かいます。この機能は、クルージングショーファーの一部として、2020年の生産開始を予定しています。

      コンチネンタルのシャシー&セーフティ部門、システム&テクノロジーの責任者を務めるラルフ・ラウクスマン(Ralf Lauxmann)は次のように述べています。「クルージングショーファーは、安全面で2重のメリットをもたらします。第1に、自動化が通常の運転時にヒューマンエラーを防ぎ、快適な乗り心地を提供します。第2に、従来の車にはないフォールバックモードが追加されます。万が一ドライバーが何らかの理由で運転に復帰できなくなったとき、クルージングショーファーが車を安全に停止させます」

      ドライバーに問題が生じたときは「プランB」を発動

      耳に痛い話かもしれませんが、交通事故の最大のリスクはヒューマンエラーであり、そのことは変わりません。すべての事故のおよそ90%はヒューマンエラーに起因しています。 交通事故による死傷者や事故自体をゼロにするという目標、ビジョンゼロへの道のりにおいて、自動運転が重要なステップとなる理由はここにあります。クルージングショーファーは高速道路での運転を引き継ぐことができます。このときドライバーは、自らシステムを監視することが求められる部分的自動運転をベースに、車両に運転をまかせるかどうかを決定できます。近い将来には、他の作業に注意を向けられる、高度自動運転という形で運転をまかせるかを決定できるようになるでしょう。

      クルージングショーファー機能が立ち上がると、カメラ、レーダー、ライダーなどのセンサーからのデータがアシステッド・自動運転制御ユニット(ADCU)と呼ばれる集中制御ユニットにより分析されます。クルージングショーファーのアルゴリズムは、分析結果を用いて車の周囲360度のモデルを作成します。高解像度マップと組み合わせたこのモデルには、すべての物体、進路と車線が含まれ、モデル内での車両位置は絶えず正確に把握されます。アルゴリズムはこれらの情報をベースに、車両が交通ルールに従って安全に使用できるエリアを判断し、運転タスクの一部としてこのエリアを目指して進みます。クルージングショーファーはこのようにして自動的に車線を変更したり追い越したりできるのです。

      「人工共感」による対話コンセプト

      高速道路の出口が近づくと、ドライバーはそのときの状況に応じた適切なタイミングで運転を引き継ぐように促されます。ドライバーが存在して運転を引き継ぐ用意ができているかを車が見極めるため、コンチネンタルではインテリアカメラとスマートアルゴリズムを使ってドライバーの視線パターンを分析および解釈します。「人工共感」の場合と同様に、このパターンを基に、路上で起きていることにドライバーがどの程度注意を払っているか、あるいはドライバーがまったく別のことに集中しているかを判断します。状況により、引き継ぎプロセスは他の情報戦略も適用する場合があります。ドライバーが依然としてハンドルを取らなければ、引き継ぎ地点が近づくにつれて情報の出力が段階的に引き上げられます。

      クルージングショーファーは、光や音声に加えて、座席を振動させることで運転を引き継ぐよう繰り返し促すことができます。ドライバーがそれでも反応しなければ、クルージングショーファーは最小リスク操作を発動します。車は自動的に路肩に進んでそこで停止します。路肩がなかったりふさがっていたりする場合は、ハザードランプを点灯してその場で停止するか、適当な停止位置が見つかるまで速度を落としながら走行します。

      「残念ながら、運転を引き継ぐよう促されてもドライバーが反応しない理由が健康問題に関係していることは珍しくありません」、このように説明するのはコンチネンタルでクルージングショーファー機能開発の責任者を務めるイブロ・ムハレモビッチ(Ibro Muharemovic)です。「現在のところ、このような状況への解決策はありません。自動運転によってのみ、このような緊急事態にドライバーの手助けができるのです」

      安全アーキテクチャと安全マネージャーによる自動運転

      最小リスク操作はドライバーが反応しなくなったときだけでなく、技術的な故障が生じたときにも重要です。センサーの故障は、安全マネージャーと呼ばれる、絶えず実行される監視機能によって検知されます。コンチネンタルの子会社であるエレクトロビット(EB)は、安全管理ソリューションEB tresosを提供することでクルージングショーファーの開発に貢献しました。またEBは、クルージングショーファーの開発において主要な構成要素となった安全関連の電子制御ユニット用ソフトウェアソリューションを提供しています。ムハレモビッチは言います。「最小リスク操作を実行するこの能力は、自動運転にとって極めて重要です。なぜなら私たちはあらゆる条件下で安全運転を確保したいからです。私たちは今、クルージングショーファーの開発における発展段階に到達しました」

      クルージングショーファーは、個々のセンサーが故障しても運転タスクを実行できるように冗長設計されています。タイプの異なるセンサーを別途ネットワーク化することに加え、ADCUのほかに第2の自動化パスとして安全ドメイン制御ユニット(SDCU)も搭載しています。SDCU自体もまた、自動化ソリューションを搭載しています。このように、もしも自動機能が制御限界に達したり、たとえば技術的な理由で1種類のセンサーが働かなくなっても、最小リスク操作は実行されます。また、車が搭載するブレーキシステムやステアリングのためのフォールバックモードも用意されています。

      自動運転はコンチネンタルの主要トピックの1つとして、第45回東京モーターショー(東3ホール、ブース3201)で紹介します。

      利用可能なドキュメント