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      2019年11月7日

      予測運転向けハイテクソリューション: 長距離レーダーのシリーズ生産が20年を迎える

      • 1999年に世界で初めて長距離レーダーを生産開始
      • コンチネンタルのシステムはACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)に使用

         

      自動運転時代が到来し、より高性能なシステムの登場によって周囲の状況をモニタリングしながら安全走行することが可能になります。このシステムの一つが、コンチネンタルの最新世代である第5世代の長距離レーダーです。探知距離は最大300メートルで、これまでにない解像度を誇ります。このシステム抜きに自動運転を語ることはできません。長距離レーダーを装着した最初の量産車が20年前に市場に登場した時には誰も予測できませんでした。コンチネンタルは、メルセデスとの共同開発において重要な役割を果たしました。1999年、ダイムラー社が「ディストロニック」という名称で、メルセデス・ベンツ・Sクラス(W220シリーズ)にアダプティブ・クルーズ・コントロールシステム(ACC)を初採用しました。これは長距離レーダーを用いた世界初のACCシステムでした。当時の探知距離は150メートルで、当時としては最先端のシステムでした。

      「このシステムによって、私たちは新たな技術的基盤を切り開きました。その後、レーダーソリューションは確実に定着し、コンチネンタルで長距離および短距離レーダーセンサー5000万ユニット以上を製造しており、最新の第5世代長距離レーダーを同社の20周年に発売する準備が整っています。」このように語るのは、1996年の最初の長距離レーダー開発に携わった、レーダー製品のプログラムマネジメント部長ノーバート・ハマーシュミット(Norbert Hammerschmidt)です。20年前のレーダーシステムの機能は基本的なACCに限定されていましたが、最新世代のシステムは、スタート・ストップ機能に加え、緊急ブレーキとトラフィック・ジャム・アシスト機能を提供します。レーダーセンサーは、カメラやライダーなどの他の周辺センサーと連携し、先進的な運転支援機能や自動運転の開発に向けた基盤を提供します。

      レーダーの利点:霧や暗闇の中でも機能

      長距離レーダーシステムは、現代の自動車では標準装備となってきました。ACCを起動することで運転は快適なものとなり、レーダーセンサーにより緊急時に緊急ブレーキアシストが作動するため安全性も向上します。欧州では2015年から、レーダーベースの緊急ブレーキアシストをトラックに装着することが義務付けられています。1990年後半の段階では、レーダー技術がそのような用途に適したものになるかどうかははっきりとしていませんでした。車両前方の障害物を検出する場合には、赤外線センサーを使用した方がはるかに安価だったからです。しかし、当時、メルセデスとコンチネンタルは、技術的により洗練されたレーダーを選択しました。レーダーは光や視界の状況に左右されず、また暗闇や霧の中でも優れた性能を発揮するからです。

      第1世代長距離レーダーは、グリルの後方に配置されたレーダーヘッドと、車両内部に装着される制御ユニットの2つの装置からなる複雑なシステムでした。両装置とも靴箱ほどの大きさで、重量は約1.3キロのものでした。77ギガヘルツの高周波は、ガンダイオードで生成されました。コンチネンタルの第2世代の長距離レーダーでは、ガンダイオードの代わりに、よりパワフルな半導体材料を使用しました。これらの材料や他の統合手段のおかげで、現在のシステムは分厚い文庫本より少し大きい程度に収まり、重さも650グラムほどになっています。

      改良は日々続いています。世代ごとに長距離レーダーはよりコンパクト、より高性能、さらにはコストも低減でき、これは特に、射程範囲の拡大と高解像度に反映されています。最新世代のレーダーセンサーの大きさは、バターの塊ほどで、重さはわずか500グラムです。重要な構成要素である半導体技術も何度か改良されています。「CMOS FR技術を第5世代で初めて採用しましたが、この技術で将来的には単一チップ上に全機能を統合し、省スペース化とコスト低減が可能になるでしょう」と、コンチネンタルのエキスパート、ハマーシュミットは述べています。

      将来的に人工知能を用いてレーダーデータを解析

      継続的なハードウェアの改善は、レーダー開発の単なる一側面に過ぎません。これまで以上に明確なアルゴリズムを使用するソフトウェアの最適化も進んでいます。最終的には、ますます高解像度化するレーダーセンサーのデータから安全運転に関わる対象物を抽出するプログラムとなります。将来的には、例えば、橋の下の交通渋滞の最後尾を確実に検出するために、人工知能も使用して複雑な状況を識別することになるでしょう。大量のデータを基に、トラフィックシナリオの対象物を認識できるようになります。新世代の長距離レーダーは、水平解像度と正確な垂直解像度の両方を初めて備えることになり、例えば、道路上の物体が、外れて転がってしまったスペアタイヤなのか、車から落ちたマフラーかどうかを検出することが可能となり、必要であれば、先進運転支援システムの作動で適切に対応することができるようになります。


      長距離レーダー:自動運転におけるキーコンポーネント

      20年前、コンチネンタルが共同開発した長距離レーダーシステムが、メルセデスで量産化された際、その新しく便利な機能、ACCはドライバーが作動させるものでした。程なくレーダーセンサー技術が緊急ブレーキ支援システムに採用されました。将来重要となるトレンドは車両周辺のモニタリングの精度向上で、そこではレーダーやライダー、そしてカメラデータを組み合わせ、詳細でシームレスな車両周辺全体像を生成します。自動運転車両が運転手の仕事を行うことができるようになるためには、この高精度モデルが重要となります。センサーを組み合わせることで、人間の知覚と同等かそれ以上に車の周囲を理解することが目標です。長距離レーダーは、将来、「後ろを振り向く」ことにも使用されるでしょう。自動運転車が単独で車線変更を行う場合、他の道路利用者が背後から接近しているのかどうか、またどのくらいの速度で接近しているかを正確に識別できる必要があります。世界初公開から20年、コンチネンタルの長距離レーダーは自動運転におけるキーコンポーネントになりました。さらには、新しく、未来志向で、より安全なモビリティ実現のための原動力でもあります。